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受注書とは|受注確認書・注文請書との違いと、FAX注文に返す場面

受注書は、得意先の注文を受けたことを相手に伝える書類です。受注確認書・注文請書との違い、受注書がなくても契約が成り立つ仕組み、FAX注文に受注書を返したほうがよい場面と書く項目、印紙税と控えの保存を、中小の卸・メーカー向けに説明します。

受注書は、得意先から届いた注文を受けたことを、得意先に知らせる書類です。法律で出す決まりはなく、FAXで注文を受ける卸・メーカーにも、注文ごとに返す会社と、返さずに出荷する会社があります。ただ、いつもの得意先から普段扱う商品の注文が届いたとき、受けられないのに返事をしないでいると、受けたものとみなされます。数量や納期を変更して受けたのに返事をしなければ、得意先は注文どおりに届くと思ったままです。

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受注書とは(受注確認書・注文請書・受注伝票との違い)

受注確認書や注文請書とも呼ばれます。呼び名は会社や業界で違い、法律で名前や様式が決まっている書類ではありません。製造委託などで取適法(2026年1月施行の改正下請法、中小受託取引適正化法)の対象になる取引でも、発注内容を書面やメールで示す義務は発注する側にあり、受注側に受注書を出す決まりはありません。

書類作る側渡す先役割
注文書(発注書)得意先自社何をいくつ欲しいかを申し込む
受注書(受注確認書・注文請書)自社得意先注文を受けたことを伝える
受注伝票自社社内受けた注文を自社のコードで記録する

社内に残す受注伝票の項目と、FAX注文から起こす手順を見る

受注書は要るか(契約の成立と、返事が要るFAX注文)

受注書がなくても契約は成立する

民法522条では、契約は申込みに相手が承諾したときに成立し、法令に特別の定めがなければ書面は要りません。FAXの注文書は申込みに当たります。電話で「承りました」と伝えれば承諾です。取引の慣習で返事が要らない場合は、注文どおりに出荷するなど、注文を受けたと認められる行為があった時に成立します(527条)。

断るとき、変更して受けるときは返事が要る

会社が営む卸・メーカーも、仕入れた商品を売る個人の卸も、商法でいう商人に当たります(商法4条・501条、会社法5条)。商法509条では、商人がいつも取引している相手から、普段扱っている商品の注文を受けたら、受けるか断るかを遅滞なく伝えなければなりません。黙っていると、受けたものとみなされます。

数量や納期を変更して受けるときも、返事が必要です。民法528条では、注文の中身を変えて受けると、元の注文を断って新しく申し込んだことになります。「10ケースのうち6ケースなら今週出せます」と返したら、得意先が了承するまで、契約は成立していません。いつもの得意先の注文なら、変更して受けるつもりでも黙っていると、元の注文どおりに受けたとみなされることがあります(商法509条)。

FAX注文に受注書を返したほうがよい場面

  • 数量・納期・品物を変更して受けるとき(分納、代替品、納期の後ろ倒し)
  • 在庫がなく受けられないとき(受注書の代わりに断りの連絡を返す)
  • 注文書の単価が単価表と違うとき(単価表の単価で受けるなら、変更として受注書に並べて書く)
  • 初めての得意先からの注文や、いつもと桁が違う数量を受けるとき(桁は先に電話で確かめる)
  • 得意先の仕様で作る特注品で、仕様と金額を書面に残したいとき
  • 得意先から受注確認の返信を求められているとき
FAXで届いた注文書を確かめ、注文どおり受ける・数量や納期を変えて受ける・受けられないの3つに分け、変える場合と受けられない場合は受注書や断りの連絡を返す流れの図
いつもの得意先の注文を注文どおり出荷するなら返事なしでもよく、数量・納期を変更するときと受けられないときは返事をする

同じ得意先から決まって届く注文を注文どおり出す取引で、得意先から受注書を求められていなければ、毎回返しても手間が増えるだけです。変更して受けるときと断るときは、在庫と納期を確かめた受注担当が、その日のうちにFAXか電話で返す、と社内で決めておくのが無難です。変更して受けた注文は了承の返事が来るまで保留にし、電話で了承をもらったら相手の名前と時刻を控えに書きます。翌営業日までに返事がなければ、こちらから電話で確かめます。すでに受けた注文を後から変えるなら、成立した契約の変更なので、得意先との合意が必要です。

受注書に書く項目と、数量・納期を変更するときの書き方

項目書く内容記入例
宛先得意先の会社名あおば商店 仕入部 御中
発行者自社名と連絡先社名・電話・FAX番号
発行日・受注番号出した日と社内の番号11月4日/No.1105
注文の特定得意先の注文番号か注文日ご注文No.2231(11月4日付)
明細品名・数量と単位・単価・金額コピー用紙A4 6箱 2,100円 12,600円
納期・納入先日付と届け先11月6日 駅前店
変更した点元の注文と並べて書くご注文数10箱 → 今回出荷6箱(残り4箱は11月9日出荷)

販売管理ソフトから受注書を印刷できる会社なら、それに変更した点を書き足せば十分です。届いた注文書の余白に受注番号と受ける内容を書き込み、FAXで送り返す形でも伝わります。

受注書の印紙税と、控えの保存

在庫品や既製品を売る受注書や、自社の規格で決めた商品を注文に応じて作って売る受注書は、物品の売買の書類なので、印紙は不要です。国税庁の質疑応答事例では、カタログ商品の販売で出す「注文請書」は、第2号文書(請負に関する契約書)に当たらないとされています。物品の売買で印紙が要るのは、継続取引の基本契約書(第7号文書)に当たるものだけで、ほかは不課税です。

得意先の指示した規格での製作や、材料を支給されての製作・加工は請負に当たり、受注書が第2号文書として印紙の要る書類になることがあります。この場合も、紙を渡さずにPDFをメールで送れば、印紙税はかかりません。国税庁は、メールで送った電磁的記録は文書に含まれないとしています。FAXで返すときの扱いは、所轄の税務署に確かめてください。

青色申告法人は、自社で作った書類の写しがあれば、その写しも保存しなければなりません(法人税法施行規則59条)。受注書の控えは、注文書と同じく確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間残します。欠損金額が生じた事業年度などは10年間です。複合機で紙をFAXしたなら送った紙を控えに残し、クラウドFAXやメールで送ったなら送ったデータを電子取引のデータとして保存します(電子帳簿保存法一問一答 問2)。

FAX注文の読み取りと入力の手間を減らす

受注書を返すかどうかを決める前に、FAXの注文書を読み、品名を自社の商品に当てはめる作業があります。注文の多い朝はここに時間がとられ、変更や断りの連絡が遅れがちです。読み取りが早く終われば、その日のうちに返事を出しやすくなります。

AI受注さんは、FAXの注文書を複合機やクラウドFAXのメール転送で、メールの注文書を専用アドレスへの転送で受け取り、手書きでも印字でも取引先・品名・数量を読み取ります。書き方が違う品名も商品マスタと照らして自社の商品に結び付け、行ごとに「一致」か「要確認」かの印を付けます。要確認の行は、担当者が原本を見て決める仕組みです。確定した明細は出荷指示のCSVに、締めの集計はExcelに出します。食品卸の現場で、月数百件の注文書を処理しています。料金は初期設定費10万円、月額3万円(税別、月1,000枚まで)です。

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受注書についてよくある質問

受注書と注文請書は同じものですか?
同じ役割の書類です。印紙税の扱いは、書類の名前に関係なく、中身が請負か物品の売買かで決まります。
受注書に印鑑は要りますか?
法律上は不要です。民法522条2項で、契約の成立に書面などの方式は必要ないとされています。得意先から押印した請書を求められたら、それに合わせます。
受注書をPDFにしてメールで送れば、印紙は要りませんか?
紙の原本を別に渡さなければ、かかりません。国税庁は、注文請書の代わりにメールで送ったデータには印紙税がかからないとしています。後から紙の請書も渡すと、その紙には印紙が要ることがあります。送ったPDFは、電子帳簿保存法の電子取引のデータとして保存します。

参考にした法令・資料

法令と国税庁・公正取引委員会の資料は、2026年10月30日に確認した内容です。

  • e-Gov法令検索 民法(第522条・第527条・第528条):https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • e-Gov法令検索 商法(第4条・第501条・第509条):https://laws.e-gov.go.jp/law/132AC0000000048
  • e-Gov法令検索 会社法(第5条):https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086
  • 国税庁 質疑応答事例(印紙税)物品販売の注文請書:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/11.htm
  • 国税庁 質疑応答事例(印紙税)請負と売買の判断基準(1):https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/01.htm
  • 国税庁 質疑応答事例(印紙税)取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/02/10.htm
  • 公正取引委員会 取適法リーフレット:https://www.jftc.go.jp/file/toriteki_leaflet.pdf
  • e-Gov法令検索 法人税法施行規則(第59条):https://laws.e-gov.go.jp/law/340M50000040012
  • 国税庁 タックスアンサー No.5930(帳簿書類等の保存期間):https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm
  • 国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(令和8年7月、問2):https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0026007-006_06.pdf

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